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定価 3080円(本体 2800円+税10%)
A5判 上製 ・248ページ
2006年 4月 15日 刊
ISBNコード:978-4-8269-0127-7
分類コード:C0052

建築のハノイ ベトナムに誕生したパリ

増田彰久 写真 大田省一 文

ゴシックの大聖堂があります。パリのガルニエと張り合う豪奢なオペラ座があります。アール・ヌーヴォーやアール・デコのデザインを採り入れた邸宅もあります。現地の人たちに言わせるとあのエッフェルが造った長い橋が今も健在です。それから、ベトナムの伝統建築とフランスの様式が不思議に調和した越仏様式の建物があります。近代化建築遺産の撮影で高い評価を得ている増田彰久の初のベトナム建築写真集です。おなじみの日本の西洋館写真とはまたひと味違う、アジアの建築の面白さをとらえたみごとな作品をお楽しみください。それぞれの建物に、建築史・アジア都市研究の俊英、大田省一がつけた解説も読み応え十分です。
カラー写真150ページ超、紹介建物50件超、ガイドマップ付。

目次

建築のハノイ ベトナムに誕生したパリ

 

I ハノイは建築の宝箱
ヨーロッパの建築デザインとアジア植民地
アジアに建つ西洋建築の面白さ
インドシナのエコール・デ・ボザール
ベトナムのフランス建築
参考年表

 

II フランス文化のショーケース=ハノイに建つ本格的様式建築
オペラ座〔現ハノイ市立劇場〕
ハノイ大聖堂内礼拝堂
ハノイ大聖堂
街地に建つ給水塔
ポール・ベール公園の八角堂
〈ハノイ・ヒルトン〉と仇名されたホアロー刑務所〔現ホアロー博物館〕
裁判所〔最高人民法院〕
インドシナ・雲南鉄道本社〔現総労働組合連合〕
最高級ホテル・メトロポール
紅河をまたぐドゥメール橋〔現ロンビエン橋〕
総督官邸〔現大統領官邸〕
トンキン理事長官府〔現迎賓館〕
聖マリア修道院
リセ・アルベール・サロー〔現共産党中央渉外部〕
様式建築のヴィラ

 

III インドシナ伝統文化への視線=ハノイに開花した越仏様式
フランス極東学院博物館〔現歴史博物館〕
インドシナ大学〔現ベトナム国家大学〕
連邦政府財務省庁舎〔現外務省〕
北門教会
パスツール研究所〔現医学研究所〕
インドシナ大学学生寄宿舎〔現美術博物館〕

 

IV ヨーロッパの最新ファッションがやってきた=ハノイに移植されたモダニズム
インドシナ銀行〔現国家銀行〕
バニエール・ガラージュ〔現自転車工場〕
ハノイ商業農業会議所〔現国際郵便局〕
アールデコの病院〔現ハノイ市公安警察病院〕
モダニズムのヴィラ

 

V 千年の都の歴史を今に伝える=ハノイの伝統建築
軍事博物館の国旗塔
一柱寺
玉山祠
ディンバン村の祭祠ディン

 

VI 南へ=フエ、ダラット、サイゴン、メコンデルタの建築
ハノイから始める旅
最後の王朝の都フエに残る王宮建築群
ダラットはバカンスの民が遺した高級フレンチ・リゾート
植民地化の拠点サイゴン開港期の建築
サイゴンの華麗なるフランス建築
混淆の大地メコンデルタの面妖な造形
ベトナムのキリスト教と教会建築

 

あとがき
ブックガイド
収録建物リスト

写真家紹介

増田彰久

1939年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。増田彰久写真事務所を主宰。第33回写真協会年度賞(1983)、第9回伊奈信男賞(1984年度)、2006年度日本建築学会文化賞など受賞。『近代化遺産を歩く』(中公新書)、『写真な建築』、『銀座建築探訪』(ともに白揚社)、『西洋館を楽しむ』(ちくまプリマー新書)、『失われた近代建築』Ⅰ・Ⅱ(講談社)、『歴史遺産 近代建築のアジア』(柏書房)など著書多数。

文 著者紹介

大田省一

1966年富山県生まれ、東京大学文学部東洋史学科・同大学工学部建築学科卒、同大学大学院工学系研究科修了、博士(工学)、一級建築士。ベトナム国立ハノイ建設大学アシスタントレクチュアラー、東京大学東洋文化研究所助手を経て、現在、東京大学生産技術研究所助手。専門は建築史・アジア都市研究。

書評情報

朝日新聞 2006年5月7日

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