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定価 本体 2700円(税別)
四六判 上製 ・224ページ
2014年 11月 20日 刊
ISBNコード:978-4-8269-7158-4
分類コード:C0011

言葉で理解する森田療法 まったく新しい森田療法のかたち

中山和彦 著

言葉によらず、行動によって体得するものとされてきた森田療法。その本質的な理解を、従来の哲学的な解説ではなく、平易な言葉によって導く。森田療法を長年にわたり牽引し続けてきた第一人者が贈る、これまで誰も知らなかった森田療法。

目次

序章 森田正馬先生への手紙

 

第1章 本題に入る前に——大事なこと

第1節 はっきり言っておくことがある

第2節 森田療法の謎

第3節 不安と向き合う

 

第2章 不安と出会う

不安と出会う(解説 不安の種火)/成長する不安(解説 心気のはじまり——母親の関わり)/自立する不安(解説 強迫は不安を病的に加工する)/心気という不安(解説 自己との対話——自己とはまず身体である)/死ぬ不安(解説 不安の完成)/不安のない不安(解説 大人の不安)

 

第3章 できれば簡単に森田療法を知りたい

第1節 森田療法の誕生日

第2節 とにかく森田療法のあらましを知りたい

初期の理解/実践後の理解

 

第4章 森田療法を生み出した地域文化的事情

第1節 森田家の家系図

正馬の略歴と家系図からわかること/動物の名前と犬神信仰

第2節 不安の源にあったもの

金剛寺の地獄絵/犬神憑きといざなぎ流/迷信・邪教を排除するための犬神憑き調査研究

 

第5章 あの時代に不安の対処法が必要だった理由

第1節 祈祷性精神症(病)の研究から森田療法へ

森田療法を世に送り出す前に必要だったこと/催眠術療法を越える神経質療法はあるのか/催眠術療法の有用性と限界/森田療法が覚醒する/森田療法の成立に先立つ「祈祷性精神症(病)」研究の意義/「迷信・邪教の打破」へ向けたエネルギーに秘めたもの/森田療法の発祥地が慈恵医大であったことの意義/高木兼寛の教育精神と森田理論

第2節 ドイツ医学とイギリス医学の対立が生んだ森田療法

多文化流入のなかのドイツ医学の意義/明治維新前後の混乱が意味するもの/明治政府の選んだドイツ医学/ドイツ医学とイギリス医学の立場/高木兼寛と森林太郎の脚気論争/高木兼寛と森田正馬——「医学は実学である」/森田療法とフロイトの精神分析法/森田療法をイギリス医学とドイツ医学の観点から考える/振り子のように

 

第6章 森田療法を支えた人々

第1節 森田理論から森田療法へ——中村古峡の果たした役割

森田に出会うまで/森田正馬との出会い——変態心理主幹、民間療法家として活躍/森田療法はどのように発表されたか/変態心理学研究所の開設/中村古峡療養所の開設とその後の活動/森田に出会うまでの活動/出会いの意義

第2節 森田療法の成立——井上円了の果たした役割

神経質性格の形成(第Ⅰ期その1)/神経質性格との決別に必要だったこと(第Ⅰ期その2)/催眠療法に熱中し、醒めていく10年間の意義(第Ⅱ期)/森田療法を世に出す前の覚悟——催眠療法の限界・放棄(第Ⅲ期)/催眠療法との決別と森田理論、森田療法の完成(第Ⅳ期)/「迷信・邪教の打破」への凄まじいエネルギーが意味するもの

第3節 迷信・邪教の撲滅——杉村楚人冠から福来友吉まで

古峡と円了との出会い/杉村楚人冠と中村古峡——「新仏教」から「変態心理」へ/福来友吉の超心理学と大本教

第4節 森田療法と禅——宇佐玄雄

玄雄の前住職、宇佐玄拙と井上円了の出会い/宇佐玄雄の生涯/東の中村古峡療養所、西の三聖病院/森田療法と禅/宇佐玄雄の言葉の魅力

第5節 森田正馬の影武者——佐藤正治

森田正馬に出会うまで/政治もまた自宅を開放して森田療法を実践/森田との別れとその後/死後の展開/二人の弟子が放つ底力——母なる佐藤政治と父なる宇佐玄雄

第6節 藤村トヨと女性の不安

藤村トヨとはどんな人だったのか/女性の不安と森田療法/女性に見られる不安——その症例と解説/女性性への葛藤と森田療法の適用範囲

 

第7章 森田療法が否定し、肯定した文化があった

第1節 中原中也の世界

中也が生きた30年/森田療法を受けるまでのいきさつ/中也の受けた森田療法/千葉寺雑記と療養日記/森田療法後の詩の変化

第2節 高橋新吉の世界座敷牢が語る新吉の軌跡

第3節 中也と新吉の病跡的接近

中也と新吉の詩が共鳴する/ダダイストからの決別——その後に待っていたもの/「森田療法と禅」が二分した二人の運命/中也とキリスト教/森田療法と宗教

第4節 ダダと森田療法

ダダとはなにか/ダダと神話解放運動/ダダとの決別/中也と新吉の詩が向かうところ/新吉と中也の出会いと別れ

第5節 森田療法と禅

禅について/森田療法と禅の比較/禅との類似点、相違点を踏まえて森田療法をとらえる

 

第8章 森田療法と薬物療法

第1節 人を取り巻く不安とはどんなものがあるのか

第2節 抗不安作用を示す薬剤が急増した

従来の抗不安薬を知る/抗うつ薬が示す抗不安作用とは/非定型抗精神病薬も時には有効である

第3節 不安をレーダー式に解体する

第4節 抗不安作用を不安のベクトルに合わせる

第5節 不安の軸を生かした治療法

第6節 複雑悲嘆反応やPTSDの治療へ

 

第9章 自然を相手に言葉にできるか。あえて言葉にして理解する森田療法

まずこう考える/「任せる」気持ち/森田療法の山門「臥褥」/不自由であること/症状にこだわるのは当然/「正々堂々と闘う」覚悟/「誤解される」不安が、「礼」を欠く/臥褥があけた/森田療法の骨格/日本の神経症者

 

終章 森田正馬先生からの手紙

日常体験のあとに、紅葉した森田的な言葉を味わう/徹底的な自然科学的世界観で生きる/森田療法がめざす自己治癒——治療が終わるとき/森田正馬先生からの手紙

 

あとがき

著者紹介

中山和彦

愛媛県宇和島市生まれ。1977年、東京慈恵会医科大学卒業。1996年、ロンドン大学精神医学研究所客員教授。2001年、中華人民共和国大連医科大学客員教授。2003年、京都府立医科大学客員教授。2004年、東京慈恵会医科大学精神医学講座主任教授。専門は精神薬理学、非定型精神病、てんかん学、森田療法。

主な著書に、『向精神薬の科学』『抗うつ薬の科学』『特定不能な精神疾患』『非定型精神病 治療別症例集』(ともに星和書店)、『中高年のうつ』(大泉書店)、『図解 よくわかる大人の発達障害』(共著 ナツメ社)、『てんかんの生活指導ノート』(共著 金剛出版)などがある。

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