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定価 3960円(本体 3600円+税10%)
四六判 上製 ・432ページ
2004年 7月 刊
ISBNコード:978-4-8269-0119-2
分類コード:C0040
在庫状況:品切
Measure for Measure by Thomas Levenson

錬金術とストラディヴァリ 歴史のなかの科学と音楽装置

トマス・レヴェンソン 著 中島伸子 訳

古代ギリシアに自然哲学の花が開き、ピュタゴラスが音階を発見して2500年。以来、科学と音楽の思考法はどう展開してきたのか? 道具と楽器──オルガン、顕微鏡、蒸留器、ヴァイオリンとチェロ、コンピュータ、シンセサイザー──を手掛かりに、絡み合う科学と音楽の壮大な歴史を丹念にひもとくなかで浮かび上がる、両者の驚くべき類似性とは? 斬新な切り口で知の本質を描きだし、最前線の科学と音楽の限界に迫るとびきりスリリングな物語。

目次

はじめに

 

I 神意により!?――オルガンと音楽の創造、そして科学が発見した世界

第1章 完璧な秩序と自然の理法
音階の発見/ヒドラウリス=最初のオルガン/王たちのオルガン/聖霊のオルガン

第2章 何もかも完全な形で自然界にある
グレゴリオ聖歌と記譜法の発見/オルガンとポリフォニー/和声の自由を求めて/新たな記譜法と新しい音楽の創造

第3章 無駄なものは一つもない
ロジャー・ベーコン=科学は神を理解するために/ガリレオの望遠鏡と望遠鏡で見えたもの  レーウェンフックの顕微鏡=神秘の終焉

 

間奏曲 虹の七色と天体が奏でる音

 

II 無限の可能性!?――錬金術、不確定性、ストラディヴァリの音の秘密

第4章 大いなる神秘
錬金術師マリアが発明した〈神の水〉をつくる蒸留器/錬金術が残したもの/ルネッサンスの自然魔術と宇宙観/神秘学最後の巨人アイザック・ニュートン

第5章 人間の能力はどこまでも
自然の力を精確に測定せよ/原子を究める=ラボアジェとドルトン/われわれに知ることができるのは=ベルセリウスからハイゼンベルクまで

第6章 ストラディヴァリの精密なプロポーション
ヴァイオリン製作と科学革命の平行関係/ストラディヴァリの音の秘密とニュートン流世界観のひび/モース夫妻のチェロと不確定性/ヨーヨー・マが弾くバッハ無伴奏チェロ組曲

 

間奏曲 もう後戻りはできない ストラヴィンスキーにおける制約と自由

 

III 知りたいことをすべて知る!?――モデル実験、そしてシンセサイザーと意味のありか

第7章 洞窟の光
モデルと究極理論とブラックボックス/フォン・ノイマンの数値モデルとローレンツのモデル実験/マッキューンの重度複合免疫不全マウス-ヒト/人間の経験という洞窟のなかで

第8章 何としても新しい道具が必要
音楽の機械化と正確さ、そして音楽世界の拡大/シンセサイザーと意味のありか/科学、音楽、そして世界についての真実

 

フィナーレ 叙述は啓示である

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