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定価 3300円(本体 3000円+税10%)
四六判 上製 ・352ページ
2023年 10月 3日 刊
ISBNコード:978-4-8269-0248-9
分類コード:C0030
How Religion Evolved by Robin Dunbar

宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか

ロビン・ダンバー 著 小田 哲 訳 長谷川眞理子 解説

進化心理学の巨人ダンバーが描く、人類と信仰の20万年。

 

仏教、キリスト教、ヒンドゥー教、神道……
世界の主要な宗教は、なぜ同じ時期に同じ気候帯で誕生したのか?
カルト宗教はなぜ次々と生まれ、人々を惹きつけるのか?

 

科学が隆盛を極める現代においても、
宗教は衰えるどころかますます影響力を強めている。
ときに国家間の戦争を引き起こすほど
人々の心に深く根差した信仰心は、なぜ生まれたのか?
そして、いかにして私たちが今日知る世界宗教へと進化したのか?

 

「ダンバー数」で世界的に知られ、
人類学のノーベル賞「トマス・ハクスリー記念賞」を受賞した著者が、
人類学、心理学、神経科学など多彩な視点から
「宗教とは何か」という根源的な問いに迫った、壮大なスケールの一冊。

 

■ ■ ■

 

集団内に協力行動を生みだす信仰心も、
集団の外に対しては反社会的行動の原動力となる。
宗教的アイデンティティが国家に利用されるとき、悲劇は起こる。
――フィナンシャル・タイムズ紙

 

宗教と人間の生活のあり方は、かくも複雑なのである。
本書は、その両方を進化的ないきさつから説明しようと、
真に大きな考察を展開しようと試みる大作である。
――長谷川眞理子(進化生物学者、総合研究大学院大学名誉教授/「解説」より)

 

■ ■ ■

目次

日本の読者へ

 

はじめに

 

第1章 宗教をどう研究するか
駆け足でたどる宗教の歴史/宗教研究のこれまでのアプローチ/進化論的背景を荷ほどきする

 

第2章 神秘志向
神秘主義者の心をのぞく/トランス状態では何が起こるか/シャーマンの世界/天国の扉、地獄の扉

 

第3章 信じる者はなぜ救われるのか?
個人レベルの利益/社会レベルの利益/コミュニタスとコミットメント――共同体の結束/外的脅威 → 集団規模 → ?

 

第4章 共同体と信者集団
共同体の規模と社会脳仮説/小さな社会はどれくらい小さいのか?/信者集団の最適な大きさは?/信者集団のダイナミクス

 

第5章 社会的な脳と宗教的な心
私たちを結びつけるもの/信頼、そして友情の七つの柱/言葉づかいにはご用心/メンタライジングと宗教心/脳のなかの宗教

 

第6章 儀式と同調
儀式には何がある?/儀式の神経心理学/動きを同期させたときに起こること

 

第7章 先史時代の宗教
重大な証拠は墓にある/大昔のマジック・マッシュルーム/原始宗教を再構築する/遠い時代から推理する

 

第8章 新石器時代に起きた危機
村の暮らしが始まった/教義宗教の台頭/宗教と法の支配/一神教と枢軸時代

 

第9章 カルト、セクト、カリスマ
事例研究――メイベル・バールトロップとパナシア協会/カリスマ指導者/信者はなぜカリスマ指導者についていくのか?

 

第10章 対立と分裂
なぜ宗教は分裂するのか/二つの宗教の物語

 

謝辞

 

解説 ヒトの進化と宗教の起源――長谷川眞理子

 


参考文献
索引

著者紹介

ロビン・ダンバー

オックスフォード大学進化心理学名誉教授。
人類学者、進化心理学者。霊長類行動の世界的権威。
イギリス霊長類学会会長、オックスフォード大学認知・進化人類学研究所所長を歴任後、現在、英国学士院、王立人類学協会特別会員。世界最高峰の科学者だけが選ばれるフィンランド科学・文学アカデミー外国人会員でもある。1994年にオスマン・ヒル勲章を受賞、2015年には人類学における最高の栄誉で「人類学のノーベル賞」と称されるトマス・ハクスリー記念賞を受賞。人間にとって安定的な集団サイズの上限である「ダンバー数」を導き出したことで世界的に評価される。著書に『ことばの起源』『なぜ私たちは友だちをつくるのか』(以上、青土社)、『友達の数は何人?』『人類進化の謎を解き明かす』(以上、インターシフト)など。

翻訳者紹介

小田 哲

翻訳家。

解説者紹介

長谷川眞理子

進化生物学者、総合研究大学院大学名誉教授。
総合研究大学院大学学長を退任後、現在、日本芸術文化振興会理事長。
日本動物行動学会会長、日本進化学会会長、日本人間行動進化学会会長を歴任。主著に、『進化とは何だろうか』『私が進化生物学者になった理由』(以上、岩波書店)、『生き物をめぐる4つの「なぜ」』(集英社)、『クジャクの雄はなぜ美しい? 増補改訂版』(紀伊國屋書店)、『人間の由来(上・下)』(訳、講談社)、『進化的人間考』『ヒトの原点を考える』(以上、東京大学出版会)ほか多数。

書評情報

TOPPOINT 2023年12月25日
「宗教はいつ生まれたのか? なぜ、人は信仰するのか? 進化心理学の第一人者が、様々な視点から『宗教』を考察します」

 

朝日新聞 2023年12月23日(「今年の3点」) 選者・小宮山亮磨さん(朝日新聞デジタル企画報道部記者)
「世界各地で2500年ほど前に一神教が生まれたのには、地理的・気候的な必然性があったという説明はあまりに明快。ジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』を思い出した」

 

労働新聞 2023年12月18日 第3429号 評者・諏訪康雄さん(法政大学名誉教授)
「きわめて知的な興奮を呼び起こす大作である」

 

毎日新聞 2023年12月16日(2023「この3冊」) 選者・中村桂子さん(JT生命誌研究館名誉館長)
「戦争、虐待、差別など人間とは何かを考えずにはおられず選んだ三冊だ」

 

週刊東洋経済 2023年12/16特大号 評者・柿沼陽平さん(早稲田大学教授)
「なぜ人間はかくも宗教を信じ、なぜ宗教はこんなにも多く並存しているのか」

 

本の雑誌 2024年1月号 評者・円城塔さん(小説家)
「そりゃそうだという話であって身も蓋もないが、身も蓋もなさがダンバーの魅力の第一である」

 

藤井修平氏書評 2023年12月5日
「ドーキンスの『神は妄想である』やデネットの『解明される宗教』で展開された “心のウイルス説” がいかに根拠のないものだったかということをはっきりと示しており、この2冊を完全に過去のものにしたと言える」

 

SERENDIP 2023年11月24日
【ベストセラー】共同体を強靭化するための「七つの柱」とは

 

日経新聞 2023年11月11日
「そんな進化心理学の大家が、ヒトが人間になるとどうして宗教が出現し、必要とするかという古くて新しいテーマに科学のアプローチで迫る」

 

bookvinegar 2023年11月2日
「今もなお、人類にとって大きな問題の1つである宗教の本質的なことが理解できます」

 

朝日新聞 2023年10月28日 評者・小宮山亮磨さん(朝日新聞デジタル企画報道部記者)
「血塗られた過去。いま世界で起きていること。思わず目を閉じた」

 

HONZ 2023年10月26日 評者・澤畑塁さん(専門書出版社勤務)
「…さらにはカルトが形成される過程など、興味深い議論が尽きない」

 

渋谷のラジオ 2023年10月25日 評者・柳瀬博一さん(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授)
「非常に面白い本」

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