白揚社トップ > 書籍案内 > WEIRD「現代人」の奇妙な心理(下)

新刊

定価 3410円(本体 3100円+税10%)
四六判 上製 ・448ページ
2023年 12月 20日 刊
ISBNコード:978-4-8269-0255-7
分類コード:C0022
The WEIRDest People in the World by Joseph Henrich

WEIRD「現代人」の奇妙な心理(下) 経済的繁栄、民主制、個人主義の起源

ジョセフ・ヘンリック 著 今西康子 訳

現代人は、歴史上存在した社会や、

人類進化の途上で存在した社会の人々とは、

神経学的にも心理学的にも全く異なっている――

(本文より)

 

市場経済や法律、科学、民主主義の起源を探ると、それら現代を特徴づける制度や概念が誕生するよりも先に、ヨーロッパの人々に現代的な心理が芽生えていたことがわかる。

 

従来考えられていたように、社会制度や物質的豊かさが人々の心理を変えてきたのではなく、まず人々の感じ方や考え方が変化し、それによって社会が変わり、歴史がつくられてきた。

 

そうして生まれたヨーロッパ人の現代的な心理は、その後、文化の伝播や国家間の競争を通じて世界中に広がり、世界のあり方を大きく変えていくことに――

 

ジャレド・ダイアモンドが『銃・病原菌・鉄』のテーマに組み込まなかった「人々の心理」を、歴史を動かすファクターとして捉えなおすことで新しい世界像を描き出す、知的興奮の書!

 

16か国で刊行の世界的ベストセラー!

 

世界的著名人が大絶賛!

 

「社会思想書における最高傑作」
――マシュー・サイド『多様性の科学』著者

「現代世界の起源を知るうえで必読」
――ウォルター・シャイデル『暴力と不平等の人類史』著者

「世界全体で生活水準を向上させ、大規模かつグローバルな課題に対処する方法を見つけることは、今後ますます重要になってくる。人々の多様性が何に由来するのか、それがこうした問題に立ち向かう上でいかに重要であるかを、わたしたちは認識しなければならない。それらの問いの答えを知りたい方は、ぜひ本書を読んでもらいたい」
――ダロン・アセモグル『国家はなぜ衰退するのか』『自由の運命』共著者

「学術書としても啓蒙書としても偉大な一冊」
――マット・リドレー『人類とイノベーション』著者

「すべての人間は共通した心理を持つという定説をくつがえした」
――リチャード・ランガム『善と悪のパラドックス』著者

「目もくらむような偉業」
――リチャード・ニスベット『木を見る西洋人 森を見る東洋人』著者

「現在繁栄している国の人々の心理的特徴は人類社会に普遍的なものではなく、(……)中世ヨーロッパのカトリック教会がもたらした制度的変化の結果だ。本書は現代社会の起源に関する議論を大きく変えていくだろう」
――ポール・シーブライト『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』著者

「ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』よりもはるかに深くて野心的な本」
――ダニエル・C・デネット『心の進化を解明する』著者

「2020年で最も重要な本のひとつ」
――キャス・サンスティーン『NUDGE 実践 行動経済学』共著者

「本書は最良のビッグ・ヒストリーだ。(……)さまざまなデータを駆使し、歴史的な大転換点に挑戦的な解釈を提案した」
――ウォール・ストリート・ジャーナル紙

「裏庭を掘っていて失われた都市を発見したような気分だ。そして発掘されたものに、衝撃を受けた。(……)興奮必至の記念碑的書物」
――ジョシュア・グリーン『モラル・トライブズ』著者

目次

【第2部 WEIRDな人々の起源(承前)】

 

第8章 WEIRDな一夫一婦婚

「奇妙な」制度
一夫多妻婚の数の問題
テストステロンの抑制システム
信頼、チームワーク、犯罪
一夫一婦婚が犯罪を減らす
これまでのまとめ

 

【第3部 新たな制度、新たな心理】

 

第9章 商業と協力行動

市場統合と非人格的向社会性
オロモ人、市場、任意団体
「徽商がいなけりゃ、町に市は立たず」
商業革命と都市革命
市場統合の進展
要点のまとめ

 

第10章 競争を手なずける

戦争、宗教、心理
自ら起こした戦争でますますWEIRDになったヨーロッパ人
集団間抗争を手なづける
政治、社会、宗教の領域で
いつからか、そしてなぜか?
異なる心理、異なる効果
競争の力を巧みに利用する

 

第11章 市場メンタリティー

労働が美徳になったのはどうしてか
給料日を待つ
歴史における忍耐力と自己制御力
自分らしくあれ――WEIRDなパーソナリティの起源
授かり効果
ビッグではあるが、どれほどビッグなのか?

 

【第4部 現代世界の誕生】

 

第12章 法、科学、宗教

普遍的な法、衝突する原理、個人の権利
代議政治と民主主義
最もWEIRDな宗教
ブースター・ショット
神聖な労働、禁じられたセックス、そして自殺
ダークマターか、それとも啓蒙か?

 

第13章 離陸速度に達する

集団脳を配線する
修道士とジャーニーマ
より大きな都市、より優れた脳
ナレッジ・ソサエティとプロテスタント
発明力が高まる?
現代世界における心理とイノベーション
罠を回避する

 

第14章 歴史のダークマター

銃、病原菌、その他の要因
物質的豊かさと心理
グローバルな心理的多様性に遺伝子は関与しているか?
グローバリゼーションとその不都合

 

訳者あとがき
参考文献

索引

著者紹介

ジョセフ・ヘンリック

ハーバード大学人類進化生物学部長。著書に『文化がヒトを進化させた――人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』(白揚社)がある。

翻訳者紹介

今西康子

神奈川県生まれ。訳書に『ヒトという種の未来について生物界の法則が教えてくれること』『家は生態系』『文化がヒトを進化させた』『蜂と蟻に刺されてみた』『蘇生科学があなたの死に方を変える』(以上、白揚社)、『ミミズの話』『ウイルス・プラネット』(以上、飛鳥新社)、『マインドセット』(草思社)、共訳書に『文化大革命』(人文書院)、『眼の誕生』(草思社)などがある。

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