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新刊

定価 2860円(本体 2600円+税10%)
四六判 並製 ・368ページ
2024年 4月 16日 刊
ISBNコード:978-4-8269-0256-4
分類コード:C0011
THE END OF TRAUMA by George A. Bonanno

トラウマとレジリエンス 「乗り越えた人たち」は何をしたのか

ジョージ・A・ボナーノ 著 高橋由紀子 訳

災害、暴行、虐待、事故……
同じような苛酷な体験をしたとき、心の傷に長く苦しむ人もいれば、驚異的な回復を見せる人もいる。
では、彼らは何が違ったのか――?

 

9・11アメリカ同時多発テロ。
世界を震撼させたこの事件を前にして、膨大な数のPTSD患者が生じると誰もが考えた。
だがそうした予測に反し、テロに遭遇したマンハッタンの住民の大半は、比較的早期に日常を取り戻した。
なぜ彼らは立ち直れたのだろうか?
また、同じような出来事を体験したのに、一部の人は長くトラウマに苦しむことになったが、
彼らの明暗を分けたのは、いったい何だったのだろうか?

 

これまで研究されてこなかった「回復した人たち」に光を当て、
今もトラウマに苦しむ人たちが、心の傷を乗り越えるために何ができるかを具体的に示した、
トラウマ治療の新たな決定版。待望の邦訳刊行。

 

■ ■ ■

 

多くの人にとって、トラウマはただ耐えるしかない災厄だが、
この本の読者にとって、それは乗り越えるべきチャレンジとなる。
――ウォール・ストリート・ジャーナル紙

 

この本で語られるのは、トラウマ的出来事の記憶から自由になる方法だ。
あなたはまさに今、そのチャンスを手にしている
――アダム・グラント『THINK AGAIN』著者(ペンシルベニア大学ウォートン校教授)

目次

プロローグ 自分はなぜ大丈夫なのだろう?

 

パートⅠ 三分の二

第1章 PTSDの発明
トラウマ以前の時代/「トラウマ」の発見/砲弾ショック/恐怖は人を変える/そしてPTSDが生まれた/どんどん拡大する診断基準/PTSDの蔓延

 

第2章 レジリエンスの発見
苦しむのが普通?/悲嘆のパターン/世界が崩壊する日/「PTSD患者はどこだ!?」/レジリエンスの盲点/ヒューリスティックによる判断の危うさ/レジリエンスの軌跡/新たな問いかけ

 

パートⅡ ストーリーと予測

第3章 外からうかがい知ることのできない世界
ウィル、レイナ、エヴァのストーリー/体験の激しさ

 

第4章 レジリエンスのパラドクス
レジリエンス予測の難しさ/美しいクジャクと足の速いチーター/良い戦略、悪い戦略、なりふり構わぬ戦略/ポジティブもほどほどがよい/脅威の過小評価/適切な状況において、適切な時に、適切な行動を取る

 

パートⅢ ゲームを主体的にプレイする

第5章 フレキシビリティ・マインドセット
早いうちに表れた兆し/楽観性/楽観性がうまく働くとき/楽観性のマイナス面

 

第6章 相乗効果
自信とチャレンジ/部分の総和を上回る/フリーダ・カーロ/赤いブーツ/自分自身を再構築する/誰でも手に入れることができる

 

パートⅣ 基本的な仕組み

 

第7章 フレキシビリティ・シークエンス
自分を責める/文脈感受性/レパートリー/フィードバック・モニタリング/記憶を上書きする

 

第8章 フレキシブルになる
向こう側/意識と無意識/悪夢ふたたび

 

パートⅤ リピート・アフター・ミー

 

第9章 自分自身に語りかける
さらに効果を高めるには?/セルフトーク/かすかな光/新しい日常を生きる/繰り返しながら前に進む

 

第10章 そして世界的パンデミックが起きた

 

謝辞

著者紹介

ジョージ・A・ボナーノ

コロンビア大学臨床心理学教授。
同大学のカウンセリング・臨床心理学部長、喪失・トラウマ・情動研究所所長を務める。
愛する人の死やトラウマ的出来事に直面したときに発揮される「レジリエンス」研究の世界的権威。科学的心理学会(APS)、国際トラウマティックストレス学会(ISTSS)、国際ポジティブ心理学会(IPPA)より、それぞれ Lifetime Achievement Award(生涯功績賞)を贈られる。これまでに何百もの論文を発表しており、その多くがネイチャー誌、JAMA(ジャマ)誌、アメリカン・サイコロジスト誌、アニュアル・レビュー・オブ・サイコロジー誌などの一流雑誌に掲載される。世界で最も引用された科学者のトップ 1%(ウェブ・オブ・サイエンス)。その研究は、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙、ニューヨーカー誌、サイエンティフィック・アメリカン誌、アトランティック誌、ロサンゼルス・タイムズ紙、ローリング・ストーン誌、NPR 、CBS 、ABC 、CNN ほか、数多くのメディアで取り上げられている。著書に『リジリエンス-喪失と悲嘆についての新たな視点』(金剛出版)がある。

翻訳者紹介

高橋由紀子

翻訳家。慶応義塾大学文学部卒。『幸福優位7つの法則』(ショーン・エイカー著)、『今ここに意識を集中する練習-心を強く、やわらかくする「マインドフルネス」入門』(ジャン・チョーズン・ベイズ著)をはじめ、ポジティブ心理学、社会心理学、マインドフルネス関連の訳書多数。

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