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定価 3850円(本体 3500円+税10%)
四六判 上製 ・480ページ
2018年 3月 2日 刊
ISBNコード:978-4-8269-9060-8
分類コード:C0020
UNCORKING THE PAST by Patrick E. McGovern

酒の起源 最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅

パトリック・E・マクガヴァン 著 藤原多伽夫 訳

9000年前の酒はどんな味だったのか?

 

トウモロコシのビール、バナナのワイン、大麻入りの酒、神話や伝説の飲み物……

世界中を旅し摩訶不思議な先史の飲料を再現してきた考古学者が語る、酒と人類の壮大な物語。

 

土器に付着した有機物を分析して太古の酒を再現する著名な研究者パトリック・マクガヴァンが、先史時代のアルコール飲料を求めて世界を巡った成果をもとに古代文明の姿を描きます。

フェニキア人がワインだけでなく、ワインを中心にしたライフスタイルまで輸出した様子や、ゾロアスター教の神酒ハオマの原料の推定、トウモロコシの栽培化をビールづくりが促したという仮説など、アルコール飲料の視点から語られるユニークな文明史です。

 

「傑作だ。読者を夢中にするストーリーで、文化とアルコール飲料との複雑な関係をひもとく。人類史を新たな視点でとらえなおした一冊」 ブライアン・フェイガン(『古代文明と気候変動』著者)

 

こちらから、訳者あとがきをご覧いただけます。

目次

 

第1章 | ホモ・インビベンス―我は飲む、故に我あり

自然は発酵を生んだ

ある特異な酵母

大酒飲みの人類「ホモ・インビベンス」

飲んだくれのサル説

なぜ飲むのか

旧石器時代説

夢の世界へ

歌と踊り新たな考え方

 

第2章 | 黄河の岸辺に沿って

中国を旅する

驚異の賈湖遺跡

世界最古のアルコール飲料

先祖の霊を呼び出す

賈湖の飲料を再現する

三〇〇〇年前の香りの正体

空白を埋める

酒を愛した中国の詩人たち

日本酒へ

 

第3章 | 近東での挑戦

文明化した世界の片隅で

残渣に秘められた第二の飲料

パンが先か、ビールが先か?

新石器時代の平等な暮らしと庶民派ワイン

聖職者階級の出現

何を飲み、何を生け贄としたのか

チグリスとユーフラテスの源流域へ

黒い山地へ

チャタル・ホユックのツルのダンス

アジアの地溝帯をゆく

最盛期を迎える近東の酒文化

酒の詩人たち

結論

 

第4章 | シルクロードをたどって

伝説のフェルガナ盆地

ワインの楽園、ペルシア

中央アジアの風変わりな薬物

北の騎馬遊牧民

中央アジアに残る永遠の謎

 

第5章 | ヨーロッパの湿地とグロッグ、埋葬地、どんちゃん騒ぎ

ヨーロッパの混合発酵飲料を味わう

時代をさらにさかのぼる大陸全域の伝統

答えを求めてはるか北へ

もっと強烈な酒?

糖分はどこに?

どんちゃん騒ぎとダンス

泥炭地の地中へ

とんでもない酒

ヴァイキングの足跡をたどる

再びのミダス

 

第6章 | 深い葡萄酒色の地中海を行く

先史時代の海の民

海と空を行く

海を渡って来たワイン

深海に眠るフェニキアの難破船

カナンとフェニキアの極上ワイン

ワインに魅了されたカナンとフェニキア

海を渡ったワイン文化

クレタ島をめざす

ギリシャ伝統飲料の終焉

イタリアへ進出

西方へ進出する

 

第7章 | 甘くて苦い、芳醇な新世界

狩人、漁師、それともフルーツ好き?

奇妙な飲料を好んだ海の民

ジャガイモや穀物を噛む

チョコレートの誕生

カカオの混合飲料

選ばれた人々の飲み物

カカオの酒を再現

醸造所を焼き払う

発酵飲料の盛衰

 

第8章 | アフリカのミード、ワイン、そしてビール

黄金の飲料

古代の養蜂

粥のような飲料

ビールに取り憑かれた大陸

大人気ソルガム・ビールの伝播

ヤシ酒やその他の酒

 

第9章 | アルコール飲料の起源と未来

飲酒は遺伝子に組み込まれている?

文化的な側面を探る

この先の話

 

謝辞

訳者あとがき

参考文献

索引

著者紹介

パトリック・E・マクガヴァン

ペンシルベニア大学考古学人類学博物館、「料理、発酵飲料および健康に関する生体分子考古学プロジェクト」のサイエンスディレクター。中国の賈湖遺跡の土器から、約9000年前という、これまでに確認されている最古のアルコール飲料の痕跡を見つけたほか、中央アジアのジョージアから出土した約8000年前の遺物にワインの痕跡を発見している。著書に、Ancient Brews: Rediscovered and Re-created、Ancient Wine: The Search for the Origins of Vinicultureなどがある。

翻訳者紹介

藤原多伽夫

翻訳家、編集者。静岡大学理学部卒業。自然科学、探検、環境、考古学など幅広い分野の翻訳と編集に携わる。訳書に『戦争の物理学』(白揚社)、『探偵フレディの数学事件ファイル』(化学同人)、『昆虫は最強の生物である』(河出書房新社)、『ヒマラヤ探検史』(東洋書林)、『戦争と科学者』『「日常の偶然」の確率』(原書房)などがある。

書評情報

日経ビジネス 2018年7月23日号 評・成毛眞さん(HONZ代表)*HONZサイトから読む

日本経済新聞 2018年4月21日
AROMA RESEARCH No.74 2018年5月発行

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