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定価 3300円(本体 3000円+税10%)
四六判 上製 ・408ページ
2022年 10月 12日 刊
ISBNコード:978-4-8269-0243-4
分類コード:C0004
A Vulnerable System by Andrew J. Stewart

情報セキュリティの敗北史 脆弱性はどこから来たのか

アンドリュー・スチュワート 著 小林啓倫 訳

サイバー攻撃の脅威はなぜ増え続けるのか?

 

相次ぐ個人情報の大規模漏洩、米・中・露による国家主導のハッキング、企業・病院を標的にして猛威を振るうランサムウェア…

 

IT社会が急速な発展を続ける一方で、私たちの「情報」を取り巻く状況は日に日に悪化している。
数々のセキュリティ対策が打ち出されているにもかかわらず、サイバー攻撃による被害は増え続けている。
今日の情報セキュリティが抱える致命的な〈脆弱性〉は、どこから来たのか?
コンピュータの誕生前夜から現代のハッキング戦争まで、半世紀以上にわたるサイバー空間の攻防を描いた、情報セキュリティ史の決定版。


【Cybersecurity Canon Hall of Fame 2022 (サイバーセキュリティ書の殿堂) 受賞】

 

「私たちが今日直面するセキュリティ問題の多くは、何十年も前に下された愚かな決定によってもたらされた。本書は、ITの黎明期から現代のクラウドコンピューティングに至るまで、情報セキュリティの歴史を完全網羅する」
――ベン・ロスキー (『Computer Security』著者)

 

「率直に言って、恐ろしい本である。コンピュータネットワークは兵器となり、脆弱なITインフラは国家の安全保障にとって、致命的な脅威となるのだ」
――リチャード・H・イマーマン (アメリカ外交史学会第40代会長)

 

白揚社noteで本書の「訳者あとがき」をお読みいただけます

目次

プロローグ 3つの汚名

1 情報セキュリティの「新次元」
コンピュータの登場/ランド研究所


2 研究者たちの期待、成功、失敗

ウェア・レポート/CIAの3要素/「安全なシステム」とは?/秘密の通信


3 インターネットとウェブの誕生、不吉な予兆

電子メール/世界初のコンピュータウイルス/UNIXの安全性とファイアウォール/ネットワーク脆弱性スキャナ「SATAN」


4 ドットコム・ブームと魅力的なフィードバック・ループ

ウェブの脆弱性/「ルート」による攻撃プログラムの公開/セキュリティ製品が抱えるジレンマ/善いハッカー、悪いハッカー


5 ソフトウェアセキュリティと「苦痛なハムスターホイール」

OSのセキュリティ/ビル・ゲイツのメモ/マイクロソフトはなぜ成功したのか/オラクルの誤算とアップルの躍進


6 ユーザブルセキュリティ、経済学、心理学

「なぜジョニーは暗号化できないのか」/騙されやすい人たち/パスワード問題/情報セキュリティの経済学/情報セキュリティの心理学


7 脆弱性の開示、報奨金、市場

ゼロデイ脆弱性/いかに開示するか/脆弱性の売買/アピールのためのハッキング


8 データ漏洩、国家によるハッキング、認知的閉鎖

個人情報の流出/米・中・露のハッキング戦争/偽りの現実


9 情報セキュリティの厄介な本質

結局、どのセキュリティ対策が必要なのか?/「賢者の石」は存在しない/本質的複雑性と偶有的複雑性/アカデミア・コミュニティ・産業界/いかに守るか/合理的な行動とは?


エピローグ 過去、現在、あり得る未来

 

謝辞
訳者あとがき

主要参考文献
索引

著者紹介

アンドリュー・スチュワート

世界的投資銀行幹部。
ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校でMSc in Information(情報科学修士)を取得。

翻訳者紹介

小林啓倫

1973年東京都生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBA取得。外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える!金融×テクノロジーが生み出す新たな新ビジネス』(朝日新聞出版)など、訳書に『操作される現実』『ドライバーレスの衝撃』『テトリス・エフェクト』(以上、白揚社)『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』(日経BP)などがある。

書評情報

ScanNetSecurity 2022年11月10日 評者・一田和樹さん(小説家)
「『情報セキュリティの敗北史』はサイバーセキュリティの歴史と概念が学べる教科書だった」

 

読売新聞 2022年11月13日 評者・佐藤義雄さん(住友生命保険特別顧問)
「興味深いエピソードも数多く紹介され読み物としても面白い」

 

朝日新聞 2022年11月19日 評者・神林龍さん(一橋大学教授)
「巻末の参考文献の充実ぶりは、もはや教科書レベルだろう」

 

SERENDIP 2022年11月25日
「『ゼロデイ脆弱性』が社会にもたらした混沌とは」

 

週刊BCN 2022年11月28日
「情報システムのあちこちに潜む危険の本質を鮮やかに描く」

 

日経サイエンス 2023年2月号 評者・井上亨さん(セキュリティエヴァンジェリスト)
「内容の豊富さと読みやすさが相まってそれだけでもおすすめできる本ですが、それを超えた読み方もできます」

 

日経新聞 2023年1月14日 短評
「相次ぎ発生する脅威にIT企業や研究者はどう対応してきたか。具体的な事例でたどる」

 

ゆるコンピュータ科学ラジオ(YouTube番組) 2023年11月26日
「じっくり読まないと損する鬼おもろ本

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